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レポート

コーヒーハンドドリップ講座・基礎抽出編

家でコーヒーを入れて飲む、その楽しさを伝えたい

梅雨の晴れ間の6月24日、1階キッチンスペースで、「コーヒーハンドドリップ講座・基礎抽出編」が開催されました。

ここ数年、「おうちコーヒー」や「おうちカフェ」といった言葉をよく耳にするように、自宅で本格的なコーヒーを楽しむライフスタイルが定着してきました。一方で、宮崎県はコーヒー消費額が全国的にも低く、コーヒー文化が広く受け入れられているとは言い難いのが現実のようです。

今回の市民活動は1人でも多くの方に、「家でコーヒーを入れて飲む楽しさを伝えたい、そして、より多くの方にコーヒーを身近な存在に感じてほしい。」との主催者の思いから企画されました。



5月からスタートし、6回目を数えるこの日の参加者は、男性1名を含む6名。初めての参加者が5名、1名の方は「ぜひもう1度教わりたい。」と2回目の参加でした。講師は延岡市の自家焙煎珈琲豆店“Regolith Coffee(レゴリスコーヒー)”の店主、浅井 寿さんです。

1時間半の講座の内容は、前半はレジュメに沿っておいしい淹れ方の基礎知識を学び、後半は参加者が実際にハンドドリップ抽出を体験するというもの。キッチンに立ち上る湯気、カウンターには様々な道具が並び、開講前からフロア内に漂うコーヒーの香りに講座への期待感が高まります。

定刻の13:00。少し緊張気味の参加者に向かって「僕は元々コーヒーが嫌いでした。」と焙煎士らしからぬ?浅井さんの自己紹介から講座がスタート。

20代後半、アルバイト先のコーヒーチェーン店で出会った“Specialty Coffee(スペシャルティコーヒー)“に「こんなにおいしいコーヒーもあるんだ!」と感動。以来、苦手だったコーヒーが欠かせない存在となり、現在は焙煎士として、地元延岡でコーヒー豆と向かい合う毎日を送られています。

ちなみに、スペシャルティコーヒーとは、生産地、豆の種類や精選方法などが明確な最高品質のコーヒーを指すそうです。「自分がコーヒー嫌いだったので、コーヒーが苦手な方にこそ今回の講座に参加していただきたいのです。」と話されていました。

自己紹介が終わると、忙しそうに手を動かしながら「それでは男性の方、最初の項目を読んでください。あっ、何だか学校の授業みたいですね。」と皆さんの緊張をほぐすように笑いを誘い、和やかに講義が始まりました。

今回の基礎知識編では、
●コーヒーにとって最も大切な要素とは何か?
●「おいしい」コーヒーと「良い」コーヒーの違いやその特徴は?
●コーヒーの味の特徴である苦みや酸味を決める味の法則とは?
●コーヒーをおいしく入れるための道具について
などを学びます。

コーヒーの美味しい、美味しくないは、主観的な心の動き

その内容は、ただ単に抽出方法を教わるだけでなく、「コーヒーの科学」の授業を受けているといった感じです。一般に広く知られるコーヒーの知識をさらに詳しく、またその根拠を丁寧に分かりやすく説明され、参加者の中には熱心にメモを取る姿も見られました。


なかでも、「コーヒーをおいしい、おいしくないと感じるのは人それぞれ。飲む人の気持ち、主観的な心の動きによるものです。」という言葉が、コーヒーの本質を表しているようで心に残りました。コーヒー豆の入った二つの袋を回して、色合いや匂いから好みの豆を選び、焙煎の知識や選ぶ際のヒントも教わります。合わせて浅井さんが入れたコーヒーの色や味で焙煎の違いを確認しながら講義が終了しました。

いつも同じおいしさを再現する方法

「それでは、実際に入れてみましょう!」いよいよ参加者様による抽出体験です。
2人ずつ3回に分けてドリップして行きます。今回は、数ある抽出方法の中から手軽で清潔、日本人に最も好まれているというペーパードリップの体験です。現に、「ペーパードリップでコーヒーを入れたことがありますか?」との問いかけに全員が手を挙げられていました。

また、「皆さんが1番知りたいのは、いつも同じおいしさを再現することではないですか?」という基礎抽出編の最大の目的に、皆さん大きく頷かれていました。

最初の組の方たちの前に、先ほど選んだ豆がその場でミルにかけられてドリッパーにセットされ、お湯の入ったポットやサーバーと一緒に置かれました。周りの視線がお二人に集中し、見ているこちらにも緊張が伝わってきます。

1投目、2投目、3投目…その都度、浅井さんがコツやタイミングを指示され、ゆっくり丁寧に入れていきます。


辺りはコーヒーの香ばしい香りがいっぱい。2階からキッチンを覗きこまれる方、通りすがりに「何をやっているの?」と興味津々に足を止められる方もいらっしゃいました。
それぞれのカップにコーヒーが注がれ、さっそく味を確かめてみます。「おいしい。いつものとは違います。」と自分で入れたコーヒーをゆっくりと味わっていらっしゃいました。


隣の方とお互いのコーヒーを飲み比べて感想を言い合ったり、和気あいあいとした雰囲気で次の方たちへと交替し、3組の体験が終了しました。
全員が同じ深煎りの豆を使ってドリップしましたが、飲み比べてみると少しずつ味の違いがあるとのこと。
講義の内容のとおり、ほんのちょっとした要素が味の違いを左右するようです。改めて、コーヒーがデリケートな飲み物なのだと感じました。

最後は質疑応答です。保存方法やおいしいコーヒーの期限、冷たいコーヒーを温めて飲むのはありですか?などなど。積極的な皆さんの質問に、身振り手振りを交え、丁寧に答えられていました。

講座を終えた皆さんの生き生きとした表情から、コーヒーへの探求心が芽吹いた気がしました。少々難しいと感じるコーヒーの蘊蓄や抽出のコツを知ることで格段にコーヒーの味がレベルアップするだけでなく、一杯のコーヒーをゆっくり丁寧に入れることで気持ちにゆとりが生まれ、日々の暮らしがより豊かなものになるのではないでしょうか。

7月も、二日間の基礎抽出講座が予定されています。また、基礎編と並行して、カッピング(テイスティング)やコーヒー豆と合う食べ物の組み合わせ方など、コーヒーの世界観が広がる講座を展開していきたいと、様々なプランを考えていらっしゃるようです。


コーヒー好きな方もそうでない方も、是非一度講座へ足を運んでみませんか。コーヒー好きな方にはさらに充実したコーヒーライフが、苦手と感じている方には新しいコーヒーとの出会いが待っているはずです。