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レポート

料理家・文筆家 高山なおみさんトークイベント

2019/9/15 開催

続きの中、久しぶりの快晴となったこの日。今日は料理家・文筆家の高山なおみさんにエンクロスにお越しいただいて、新刊「帰ってきた日々のごはん⑤」のトークイベントを開催いたしました。

●高山なおみさんのプロフィール
1958年静岡県生まれ。レストランのシェフを経て料理家、文筆家となり多くの著書を執筆されています。2004年からのロングセラーとして『日々ごはん』シリーズがあります。それ以外では『たべもの九十九』『実用の料理 ごはん』『料理=高山なおみ』などなど。近年は絵本制作にも取り組み、『どもるどだっく』『たべたあい』『ほんとだもん』『くんじくんのぞう』(共に絵・中野真典)などがあります。
2016年より神戸にお住まいです。
本日は、アノニマ・スタジオの担当編集の村上妃佐子さんを交えて、毎日のごはんや暮らしを⾔葉に紡ぎ、⼀冊の本になっていくことについてのお話をうかがいました。



日常の中で、新しい出会いの数々

さっそく、スライドショーを流しながら高山さんがお話をしてくださいました。
新刊『帰ってきた日々のごはん⑤』の大きなトピックとして、高山さんが夫のスイセイさんと離れ、長年住まわれた東京・吉祥寺から神戸への引越しがあります。その作業の様子や新居の写真をスライドで映しながら、ご説明して下さいました。
神戸で見つけた新しいアパートは海外のアパートのよう。メゾネットで、窓から海と空が大きく見える部屋だそうです。トイレ・浴室もピンク色だったりと、最初はかなりびっくりされていたそうですが、今ではそれも慣れてお好きになったそうです。


『帰ってきた 日々ごはん⑥』のなかから、高山さんが引越しすることを発表した日の日記を朗読して下さいました。高山さんの声は柔らかく、目を瞑って聞いているとその風景が目に浮かぶようです。
朗読が終わると自然と拍手が沸き起こりました。一人暮らしの生活をしながら日々のごはんについてお話をされました。一番好きなメニューは、白いご飯、納豆、しらす。一番お気に入りだそうです。


食を通して、誰かを幸せにする

最お仕事として、お母様との介護の話もして下さいました。病院食が味気なく、お母様の顔が暗かったので、高山さんはかぼちゃを煮て、豆乳とコーンスープを混ぜたスープを作り、持っていったらすごくよろこんで召し上がっていらっしゃったそうです。
普段は無表情で食べていたのに、勢いよくスープを飲みこもうとする姿に高山さんはついうれしくて、笑ってしまったそうです。


大きな決断をしたからこそ、今の自分がある

『帰ってきた日々ごはん⑤』の表紙の話。
今回、この表紙はかなり勇気がいる決断だったと高山さんはおっしゃいました。本の表紙はたいてい見栄えのいい、素敵な表紙が多い中、鍋のなかのインスタントラーメン。この表紙はスイセイさんとの最後の食事の写真だそうです。
書籍の帯には「前に進むしかないんだ。」という高山さんの言葉。それは、高山さんの心の決意であり、お二人の関係がこの写真を通じて伝わってきます。
高山さんが最後に義理の娘さんからのお手紙をよみあげようとしましたが、途中で高山さんは涙がこみあげてきて、手紙を読むのを断念します。

娘さんの文章は高山さんと似ていて優しく、高山さんを包み込むような優しい言葉で綴られていました。この場にいた参加者の方からも鼻をすする音がしてきました。
高山さんの一つ一つの言葉の重みがずっしりとつまっていて密度の濃いトークイベントでした。
今回高山なおみさんにとって延岡は、短い滞在となりましたが、また延岡に来て頂いた際には、思う存分、延岡の色々なものを見て感じて頂いて、満喫してほしいと思いました。