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レポート

働くために生きるのか、生きるために働くのか

2020/2/22 開催

エンクロスでは、2015年9月の国連サミットで採択された
『SDGs(持続可能な開発目標)』を受けて、
毎月テーマを変えて様々なイベントに取り組んでいます。
2月度は、22日・23日の両日に、「働く」をテーマにした各種イベントを実施しました。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」では、
『ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)』というワードが出てきます。

多種多様な働き方がある現代において、
“自分らしさ”を見つけた人々の働き方や考え方を知る良い機会として、
たくさんの方々にご参加いただきました。

美郷町:今西猛×諸塚村:森佑介のトークセッション

2月22日は、美郷町渡川地区で山師を本業として13年目になる今西猛さんと、
一般社団法人ハチハチの運営者であり、東京都から諸塚村へIターン移住をした
森佑介さんをお招きして、トークセッションを行いました。



30代で山師の親方として弟子の育成に励むかたわら、
宮崎市内にてコワーキングスペースとなる『若草HUTTE(ヒュッテ)』を営み、
オンラインショップ『渡川山村商店』では地域の特産品を提供するなど、
多くの人々に山の魅力を届けている今西さん。
山と街をつなぐことで、みんなが一緒になって
持続可能な地域づくりに対する知恵を出し合えたらと考えています。

森さんは、諸塚村を中心とした人材マッチングサービスを運営し、
これまで身内間で行われてきた農林業を主とした季節毎の仕事依頼を、
広く求職者と結び付けようという試みを展開。
今後一層の人口減・過疎化に備え、村民全体で村の産業や営みを
長期的に支えていくための仕組みづくりが大切と考えています。

そんなお二人にとって、働くということはどのような意味を持つのでしょうか。

柔軟な価値観で、“仕事は遊び”と捉える


お二人に共通していたのは、“仕事は遊び”という感覚を持っていること。

特に今西さんは、
「僕は“ライスワーク”と“ライフワーク”をもっている。生活のために稼ぐことと、やりたいことをやるのは別のことだけど、でもどちらも“働く”ということ」
との考えを示してくださいました。

そのお話を興味深く聞いていた参加者からは、
「新しいことをしたいが、脱サラをしてまでチャレンジするのは怖い」
という声が上がりました。
それに対して今西さんはあっけらかんと、
「脱サラする必要はないんじゃないでしょうか」と語り始めます。

「やりたいことや好きなことは長続きするし、モチベーションを保つことにもつながる。でも必ずしもチャレンジしなければいけないわけではなく、できる範囲でやればいい」というのが、今西さんのスタンス。

山師として報酬を得ており、稼ぐことと自分のやりたいことを
切り離して考えることができている今西さんならではのアドバイスに、
会場のみなさんは目から鱗といった表情をなさっていました。

“自分”を知ることで、働き方が見えてくる


ときおり、「なかなかうまく言えないんですけど…」と苦笑しながらも、
その発言のひとつひとつに誠意を込めて話してくださった森さん。

精力的に活動している様子から、
昔から熱意に溢れていたのではという印象を受けましたが、
「大学時代の強みはなんでしたか?」という質問に対して、
「特に強みはなかったですね。部屋で一人でじっとしている時期もあって」と、
意外な回答で会場を驚かせました。

しかしながら、たまたま読んだ一冊の本に涙したことが大きな転機に。

「自分がどんなことに感動するのかを知って、それを大切にしようと思った」
ことがきっかけとなり、それが今の自分の働き方につながったのだそうです。

また、「仲間と一緒にやることが自分の行動原理にある」というお話では、
地域の人々との交流を欠かさず、地道に実績を積み重ねることで、
信頼関係を築いていくことが大切だと語ってくださいました。

「得た報酬は、地域に役立てるために使いたい」という言葉からも、
やりたいことのために全力で取り組んでいる
森さんの強い想いを感じることができました。


今回のトークセッションでは、
スマートフォンからの入力で匿名投稿できるシステムを利用して、
参加者がトークセッション中に感じたことや聞きたいことを
正面の大型スクリーンにリアルタイムで反映する試みを行いました。

参加者のみなさんからは、真面目な質問からプライベートな質問まで
様々な内容が寄せられましたが、どんな質問にも明るく答えてくださる
お二人によって、掛け合いは終始和やかなものとなりました。

トークに対する参加者の反応を見て、
今西さんと森さんがさらにトークを広げていくという
双方向のコミュニケーションにより、会場全体が一体となって
楽しむことができたのではないでしょうか。


「働く」ということを、少しだけ、
それでもじっくりと考える時間となった今回のトークセッション。

みなさんにとって、今までのそしてこれからの働き方に
思いを馳せる一助になれば幸いです。