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レポート

「発達ショウガイ」と言われた子を育てて

2022/11/21 10:00~11:00 開催

11月21日、DIYスペースにて『「発達ショウガイ」と言われた子を育てて』が開催されました。講師は「学び舎ヒノワ(陽の環)」の小泉明子さんと息子の小泉陽平さん。


「そんなにかしこまらず、リラックスして気楽に聞いてくださいね」という明子さんのお声がけから、和やかな雰囲気で始まったこの講演会。明子さんのお話を聞きたいと、オンラインでの参加も合わせて約20名の方々が集まりました。
今回は陽平さんの成長期とともに、その時に感じていた親子それぞれの気持ちもお話ししていただきました。

陽平さんは幼い頃から元気いっぱいでとても自由な子だったとのこと。


小学校に上がってからもその自由さは変わらず、周りからは落ち着きがない子として見られ、陽平さんは問題児として扱われていたそうです。そんな教室の雰囲気がつらく、字を書くのが嫌で、鉛筆を噛むこともしばしば…
陽平さんのことが心配だった明子さんは、小学校教諭としてお家で一から指導したり、児童相談所に通わせたりとできる限りのことはやっていました。

小学校4年生ごろから学校に行きづらくなり、5年生になると、本格的に学校に行けなくなりました。担任の先生の配慮もあり、席を一番後ろにしてもらったり、授業は寝てもいいと言ってもらったそうですが、その様子を見たクラスメイトからは非難の声が上がることも…
その一方で、興味がある教科では実力を発揮し、テストでは満点を取ることもありました。

その後、学校の先生から勧められ、発達検査を受けて支援学級に入りました。しかし、支援学級に入ってからも遅れて学校に行くことが多かったそうです。


そのような状況が続き、追い詰められていった陽平さんは、“大人の言うことを聞かない自分は要らない”とまで思うようになっていました。学校に行かなきゃいけないということはわかっているけど、そう思えば思うほど行けなくなり、“一日が早く終わってほしいとずっと思っていた”と当時のつらい心境を明かしてくださいました。
陽平さんと同じように明子さんも悩んでおり、毎日泣きながら出勤していたそうです。児童相談所にお世話になる機会も増えていったとのこと。
ただ、陽平さんにとって児童相談所に行くことはきついことではなかったそうです。なぜなら、児童相談所の先生とお話できたり、ご褒美として帰りにお菓子を買ってもらったり、なにより、お母さんと一緒にいられることがとても嬉しかったからでした。

スクールカウンセラーなどあらゆる手段を試しても状況が変わることはなく、お薬も試したそうですが、逆に体調が悪くなり、唯一の楽しみだった食事も美味しくなくなったようで、すぐにやめたとおっしゃっていました。

そして、陽平さんが15歳の時に、明子さんは気づいたことがあったそうです。
それは、陽平さんにとって一番つらいことは、母親である自分に“こうでないといけない”という視線を向けられることだと。そのことに気づいてからは、「できなくてもええやん」「人それぞれの個性なんやからええやん」という考え方に変えていき、できないことではなく、陽平さんが見ていることを同じ目線で見つめるようにしていったそうです。そうすることで、陽平さんも明子さん自身も気持ちが楽になり、全部が楽しくなっていったとおっしゃっていました。


お二人のお話が終わった後には、質問タイムが設けられました。
同じような悩みを抱えている方からの質問やお二人の夢についてなど、様々な質問が寄せられ、一つ一つ丁寧にお答えされていました。
最後の質問は「生き方を悩んだ時にはどうしたらいいと思いますか」というもの。
陽平さんは「悩むだけ悩んだらいいと思います」と、悩むことは必要なことだと教えてくれました。明子さんは「医療や農業など、自身の目指す道の専門家のお話を聞くと良い。そして、最終的には自分がやりたい方向に進むのがいちばんいい」とおっしゃっていました。


お互いを尊重し合うお二人の関係性はとても素敵で、考え方や生き方など、参加された方も思い思いに受け止めている様子でした。
日々子どもたちの支えとなっている親御さん、学校の先生など様々な方に響く、すばらしいイベントになりました。