1. TOP
  2. レポート
  3. イベント
  4. 私たちだって“いいふうふ”になりたい展in延岡2023

レポート

私たちだって“いいふうふ”になりたい展in延岡2023

8月10日(木)から13日(日)まで待合ラウンジにて『私たちだって“いいふうふ”になりたい展in延岡2023』が開催されました。


特定非営利活動法人カラフルブランケッツの主催で2021年11月22日に大阪で開催されたこの展示には、同性婚(婚姻の平等)についてもっとみんなに考えてほしい、同性婚をめぐる現状を知ってほしいという思いが込められています。2021年以来全国各地で開催されており、延岡でもぜひ開催したいと声を上げたのは佐藤薫さん。


佐藤さんは2021年当時からSNSなどで特定非営利活動法人カラフルブランケッツのことや展示についてご存知で、よい取り組みだと思っていたそうです。
今年に入り、同性婚に対する心ない発言がメディアに取り上げられ、ひどく傷ついたと同時に、何もしなくても勝手に耳に入ってくるネガティブな情報とは反対に、ポジティブな情報は自分から動かないと得られないし届かないと強く感じた佐藤さん。以前目にしていた『私たちだって“いいふうふ”になりたい展』を延岡で開催することを思い立ち、アクションを起こしました。

〈展示を通して伝えたいこと〉
展示は「なぜ同性婚が必要か」についてまとめられたパネルや、実際に作成された公正証書、同性のカップルが結婚に対する思いを綴ったパネルなど、同性婚について初めて触れる方にもわかりやすいように工夫されていました。また、関連書籍もテーマごとに数多く展示し、手に取って読むことができるスペースも設けられました。



シールを貼るだけでかんたんに参加できるアンケートも設置され、その回答数の多さからも関心の高さがうかがえました。


展示を見た方の感想は、「延岡でこの展示が行われていたらびっくりする。けれど、小さい頃から同性婚について知る機会があればよいと思う。」というものや「世代によって感じ方も違うだろうが、見ることができてよかった。」というものがあり、小学生から60代くらいまでの幅広い年代の方が足を止めて展示を見ていたそうです。


展示を始める前と後で、佐藤さんに気持ちの変化があったかを尋ねると、「肯定的に声をかけてくれた方がいたので、開催してとてもよかったと思っています。見ていただいた方に何かしらの影響を与えることができたと感じるとともに、自分も発信していいんだと思ってもらえたらうれしいです。困っている人がいるのに知らないままにしていることが社会の問題。だからこそこのような展示をする意味があります。延岡に限らず、生きづらさや居場所のなさを感じて大都市に行く人もいます。延岡でも生きていけると思える人がもっと増え、一度離れた人も帰ってくることができるまちにしたいです。」と力強く答えてくださいました。
佐藤さん自身も延岡や宮崎で活動してみて、他の人がいる、自分だけじゃないとわかったら怖くなくなったそうです。ご出身は他県ですが、これまでは地元に帰ることが怖く、ずっと帰ることができなかったそうです。しかし、地元にも同じような人がいるはずと思ったら、帰ることが怖くなくなり、ご自身の地元でも活動したいと思ったそうです。そして、地元が帰りたいと思ったときにいつでも帰ることができる場所であればよいのではないかと思ったことを話してくださいました。
自分の周りにはいないと勝手に思いこんで「無関心でいること」、そして「知らないままでいること」から、今回の展示をきっかけに正しい情報に触れ、知識を深めていくことで社会が変わっていくのだと思うともおっしゃっていました。

日本では同性婚は法律上まだ認められてはいません。「結婚しなくても、いっしょにいられるだけでよいのではないか」という声もあるかもしれませんが、制度としての「結婚」は親権や相続といった法令上の権利の有無など「いっしょにいられるだけでいい」というものとはまったく違うものです。
「結婚」できることでどういったメリットがあるかということは意外と知られていないのですが、それは結婚が「できる」人にのみ与えられたもの。結婚を選択することすらできない人たちがいることを、もっと知ってもらいたいと佐藤さんは訴えます。


延岡市には『延岡市パートナーシップ宣誓制度』が施行されています。市に認められたという安心感はあるものの、法的な効果はなく、あくまで同性婚の制度ができるまでの救済措置であると佐藤さん。また制度自体を知らない方もまだまだ多く、もっと周りの認知が進まないと制度として有効に使うことができないのが現状であり、課題であるとも話されていました。

今回「同性婚」について初めて知った方もいらっしゃるかもしれません。
この展示を通して感じたこと、気になったこと、疑問に思うことなどを心に留め、少し意識して過ごしてみませんか。
きっと日々の生活のなかで気づくことがあるはずです。
時期は未定ですが、佐藤さんは今後もこの展示をエンクロスはじめ延岡の各所で開催したいと考えています。今回ご覧になれなかった方もお近くで開催の折にはぜひ足を運んでみてください。